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ツキノワグマの動画と解説

ページ公開日:2016年4月3日

ツキノワグマ

分類:哺乳類 / ネコ目 / クマ科 / クマ属 / ツキノワグマ
分布域:日本、中国、台湾、インド、パキスタン、イラン、アフガニスタンなど

食性:雑食(果実、芽、昆虫、小動物、死肉など)
食物の9割以上が広葉樹(ブナ・クリ・ミズナラ)の実などの植物。
環境によっては肉食傾向にもなります。

ツキノワグマの画像(出典:フリッカー | Flickr - Photo Sharing!)

ツキノワグマ
Title:ツキノワグマ | Flickr - Photo Sharing!
Uploaded by yuki_alm_misa

体長:1.2メートル - 1.8メートル

体重:オス50キロ - 120キロ
メス40キロ - 70キロ

ツキノワグマの特徴は上の画像のように、胸部に三日月(月の輪)型やV字型の模様があることになりますが、そのような模様のない個体もいます。

日本のツキノワグマ

日本では本州、四国、九州に生息しているとされますが、四国のツキノワグマは剣山山系(徳島県および高知県)に十数頭から数十頭が生息するだけとみられており、絶滅寸前です。

また、九州のツキノワグマは既に絶滅していると考えられています。
ちなみに、北海道のクマは「ヒグマ」であり、ツキノワグマとは別種になります。

現在では、本州と四国の約3分の1の地域(34都府県)に生息しているとみられるツキノワグマですが、その数は約1万5000頭~2万頭(2012年3月時点)と推定されています。

ツキノワグマの分布域の画像(作成:zoomovie.net)

ツキノワグマの分布域
元地図:世界地図・世界の国旗
クマの画像:いらすとや
作成:当サイトスタッフ/2016年

ツキノワグマは本来、奥山の森林に生息し、人との遭遇は稀なケースになりますが、実際には下の動画「埼玉で熊に遭遇!」のように、人とツキノワグマとの遭遇は稀ではなく、人が襲われた事件も数多く報告されています。

たとえば、平成18年度(2006年)の1年間では150名がツキノワグマに襲われ、うち5名が死亡するという人身被害が発生しています。

ツキノワグマによる人身被害

下表は「H27年度におけるクマ類による人身被害について [速報値]」のデータを引用しています。

平成20年
(2008年)
被害件数:49 / 被害人数:52
平成21年
(2009年)
被害件数:50 / 被害人数:62
平成22年
(2010年)
被害件数:142 / 被害人数:147
平成23年
(2011年)
被害件数:64 / 被害人数:78
平成24年
(2012年)
被害件数:73 / 被害人数:75
平成25年
(2013年)
被害件数:42 / 被害人数:52
平成26年
(2014年)
被害件数:111 / 被害人数:118
平成27年
(2015年)
被害件数:51 / 被害人数:55
この欄のみ暫定値

ここ10年間のツキノワグマによる人身被害の状況は、平成18年度(2006年)、平成22年度(2010年)、平成26年度(2014年)の順に多く、4年間隔で多くなっています。

逆に、最も少なかったのは平成20年度(2008年)や25年度(2013年)の52名となりますので、平成18年度(2006年)の150名と比べると、約3倍もの差があることになります。


では、なぜ?奥山の森林に生息するツキノワグマが人里に出没し、人に被害をおよぼすのでしょうか。
なぜ?ツキノワグマの出没数は4年間隔で多くなるのでしょうか。

ツキノワグマ出没のメカニズム

「山に食べ物が少なくなってきたから、エサを求めて市街地に下りてきたのだろう」ということは、容易に想像できますが、その背景には自然がもつ複数のメカニズムが重なり合っています。

前述のように、ツキノワグマの食性は植物質主体の雑食性であり、特にブナ・クリ・ミズナラなどの広葉樹の実が多くを占めています。
ところが、広葉樹の実には豊作と凶作のサイクルがあります。

ツキノワグマにとって、広葉樹の実のなかでも特にブナの実が重要です。
ブナの実の豊作と凶作のサイクルにはアバウトな周期性があり、「4年以上」とも「5~7年間隔」ともいわれています。

豊作であれば山の中だけで十分なエサが得られるのですが、凶作となればエサ不足となり、エサを求めるツキノワグマが山から市街地へと下りて来る状況が増えます。

山の植物の生育状況にも豊作と凶作のサイクルがあり、「8~11年間隔」といわれています。
11年というのは、太陽の黒点周期とシンクロします。

黒点が多いと気温が上がり、北方での植物の生育状況がよくなるので、草食性や雑食性の動物たちにとっては、エサが増えるという構図になります。

逆に、黒点が少ないと気温が下がり、植物の生育状況が悪くなるので、エサ不足を招くことになります。

夏から秋にかけての豪雨や台風が多いと、花や実が落ちてしまいます。
落ちた実を拾うのはスピード勝負であり、小動物やイノシシなどが得意とするところで、ツキノワグマに勝ち目はありません。

イノシシの剥製の画像(撮影場所:京都御所西 護王神社)

イノシシ(長野県松本産)の剥製
撮影場所:京都御所西 護王神社
撮影者:当サイトスタッフ/2016年

しかも近年の温暖化に伴い、イノシシの生息範囲は年々北上し、広がっていることから、ツキノワグマにとってはやっかいな競合相手が増えていくことになります。


上記①②③だけではなく、その他の原因も重なり合った結果が、ツキノワグマが市街地へ出没するメカニズムになるのだと思われます。

この10年間でのツキノワグマによる人身被害数は、4年間隔(2006年、2010年、2014年)で多くなっていますが、「次は2018年が多くなる」と予測する主旨のページではありません。

複数の原因が重なり合う現象なだけに、それは今年(2016年)や来年(2017年)にも起こりうることなのかもしれません。
また、「新世代クマ」という原因もあります。
「新世代クマ」については伝言版に書いています。

参考書籍・参考サイト

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埼玉で熊に遭遇!
Uploaded by Shohchanblog

伝言版の画像

新世代クマ

まるで、愛犬の散歩のようにも見える可愛らしさですが、下図は生後4か月のツキノワグマになります。

生後4か月のツキノワグマの画像(撮影者:ヒーマンの上野を散歩)
生後4か月のツキノワグマ
出典:ヒーマンの上野を散歩

本文では「ツキノワグマ出没のメカニズム」として、主に自然現象に原因を求めていますが、実際にはそれだけではありません。

たとえば、人里に現れたツキノワグマが母グマだった場合、子グマを連れています。

そこには果実や穀物の畑などがあり、子グマから見れば人里ではなく、豪華なエサ場のように思えてしまいます。
いわゆる「刷り込み」です。

そして、子グマが成獣になったときには、自分のエサ場だと思っているので、堂々と人里に現れるようになります。

ツキノワグマのメスの画像(撮影者:ヒーマンの上野を散歩)
ツキノワグマのメス
出典:ヒーマンの上野を散歩

また、高齢化によるハンター(猟師)の減少という一面もあります。

かつて、ツキノワグマはハンターに追われ、鉄砲で撃たれたりしていたことから、人を恐れていましたが・・・。

最近ではハンターに追われたことも、鉄砲で撃たれたこともないこと傾向にあることから、人を恐れないツキノワグマが増えています。

そのようなクマは「新世代クマ」と呼ばれ、ツキノワグマだけではなく、「ヒグマ」にも増えています。

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